麻生ミツ晃さんの2冊目。電子配信もされています。ただ、2冊紙で購入するとそれぞれの帯についている応募券で全サ申し込みができますので・・・個人的には紙推奨です★
今回の【夜の落下】は重めのストーリー。ラストもハピエンなのですが、晴れ晴れした気持ちというよりはなんか切なさも残しつつのぐっと重めな気持ちになります。
もう少し先が読みたいかも。
夜の落下 作品紹介
作者名 | 麻生ミツ晃 |
出版社/レーベル | 海王社/GUSH COMICS |
発売日 | 2019/1/10 |
藤雪の評価 |
あらすじ・内容紹介
「私をSEXが出来る身体にしてください」
大学生の多田氷室は企業で長期研修生として勤める一方、
ゲイ向けのデリヘルでバイトをしている。
ある夜ホテルで待っていたのは、目隠しをした上司の九鬼だった。
社内では優しく紳士と評判の九鬼が告げたのは、淫らで切実な願い。
自慰すらしたことがないという九鬼が
震えながら自分の言いなりに乱れる姿は、氷室の嗜虐心を煽った。
決して目隠しを取らない九鬼は酷く快楽を植え付ける男が氷室と知らないまま、
不埒な逢瀬は続き――。
注意ポイント
【ネタバレ注意】夜の落下 感想レビュー
2冊同時発売の2冊目。テイストとしては「きっと、幸せな結末」の方が個人的には好み。
どことなく哀愁漂う雰囲気はどちらにもあるけれど、「夜の落下」の方がより濃いかもしれません。
「夜の落下」には2作品収録されていて、どちらかといえば2作目の「やがて、恋になる」の方が明るめテイスト。読みやすかったです。
作品の背景
厳格なクリスチャンの家で育った九鬼はいつしか性嫌悪症になっていた。
そんな彼がなぜかデリヘルを呼び、呼び出されたのが氷室。
彼は九鬼の勤める会社に長期インターンに来ている有名大学の学生。
「私をSEXが出来る身体にしてください」
九鬼はそう言い、氷室と度々会うようになります。ただ、目隠しをしているのでやってきたデリヘルの子が氷室であるとうのは知られていない。
作品のみどころ
九鬼が目隠ししていたので、相手が氷室だとは知らずに女性が抱けるように訓練しているのですが・・・
昼間の上司としての顔と夜の顔・・・それがすごくギャップがあってみどころのひとつ。
夜の九鬼は謝ってばかり。
どうして性嫌悪症になったかも作中には描かれていて、そして何のためにそれを変える決心をしたのかを知ると少し胸が痛みました。
九鬼の人生に大きく関わってくる義母との関係
母親に嫌われたくないと性的な事にも興味を持たずに来た九鬼ですが・・・次は母親のために女性を抱かなければいけないと・・・
九鬼の人生には大きく義母が関わっています。
ただ、九鬼は義母が嫌いとかでは全くないのですよね。恐らく・・・好きだからこそ嫌われたくないという気持ちが強かったのでは?と思います。
実母と義父が再婚。その後実母が亡くなり、義父が今の義母と再婚。
父とも母とも血のつながりのない九鬼は必死に彼らに気に入られたい、捨てられたくないと言いつけを守って今までやってきたのだという事が作中に描かれています。
その過程でどんどん性嫌悪になっていったのですね・・・・。
わりと重めのストーリーだったのですが、読んでて救いだったのはこの義母が「トンデモなく悪」な人ではなかったということ。
九鬼に女性を紹介したのも悪気があってしたわけではないですし、きっと彼女であれば九鬼の事を今後も受け入れていけるのではないかなと思ったりもしました。
義母との関係は、恐らく変化はないのではないかな・・・と勝手に予想。
正反対な二人が惹かれあう
面白いと感じたのは、氷室と九鬼って正反対なのですよね。
性に関してもそうですし。
人を気にしやすい九鬼に対して氷室はわりと無関心。
でも、二人とも同じなのは自分がどこか壊れているのでは?と感じている点があるのではないかなぁと読みながら感じました。
作品を読んでいると、途中までは九鬼の性嫌悪はところがすごく目立つのですが描き下ろしなんかは氷室の抱えていたものがわかります。
二人はかけているところを埋めあうように惹かれあっていったのだろうなぁと感じました。
氷室と会ったことで九鬼は快楽を覚え、そこで生まれた感情がどんどん育っていくの。
母親の勧める女性と結婚するために性嫌悪を治そうと頑張ってきた九鬼ではあるのですが、それがいつしか目的が変わっていったように思います。
氷室もまた、何か無関心なところがあるのですが・・・それは元からそういう性格だったわけではなくむしろ逆だったのが描き下ろしでわかります。
作中にでてくる執着のS(氷室のあだ名みたいなの??)はわりと的を得ていて、氷室はちょっとこれ!って思ったら我慢できずにダメなものでも自分の思い通りに行動してしまうクセがあったようです。
腕輪をパチンパチンとはじくのはそれをガマンし自分を落ち着かせるため。
そして無関心なのは・・・誰かに執着するのが怖かったから。描き下ろしでの金魚のようにならないように・・・駄々をこねないように九鬼には接していたのかなぁ・・・と思います。
九鬼・義母・女性と三人で氷室のバイト先へ偶然やってくるのですが、それにもしっかりと落ち着いて対応している氷室・・・と思ったら・・・
表情は笑っているのにパチンパチンと腕輪をはじいて自分を落ち着かせているシーンがあって・・・
すごい仕掛けだなぁって思いました。
笑ってても動揺はしているんだろうなぁってギュっとなりましたヨ。こういうアイテム使いはすごいなって思います。
表情に出やすい人は良いけれど、自分を創りあげている人間ってけっこういるでしょ?
九鬼にしても氷室にしてもそう。
だから、心情が出るような細かな仕掛け・・・すごく好き。
ストレートな表現も好きだけれど、やっぱり麻生さんは凄いなぁって思いました。
絶対音感
ちょっと話が前後しちゃうのですが・・・目隠ししてデリヘル呼んでたのになぜ相手が氷室だとわかったか・・・というところですよね。
実は、最初から氷室だと九鬼はわかってたんです。
[keikou]それは彼が絶対音感を持っているから。[/keikou]
だから声で本当はデリヘルで来たのが氷室だと分かってたわけです。
それが氷室にバレたのは社内でのウワサを彼が耳にしたため。
社内で九鬼が絶対音感を持っていて、人の声も聞き分けられると知ったの。
ここのシーンは・・・氷室にとっても九鬼にとっても重要シーンなので要注目。
全部バレた時に物語って動きますよね☆1話ラストは九鬼が変わるきっかけを与えたシーンでもあるのではないかなと思います。
[keikou]「あんた 一回死になよ・・・」[/keikou]
のセリフはすごく衝撃的でした。でも傷つけるような言葉ではないのですよ☆
むしろ逆。
背中を押すような言葉です。
「今度は本物になって生きなよ」と言われた九鬼がとった行動から・・・九鬼の気持ちも見えたような気がします。
自分をさらけ出せるのはきっとお互い一緒に居るときだけだと思うので、きっと二人は・・・それぞれ欠けてたモノを埋め合って幸せになっていくような気がします。
やがて、恋になる
こちらはそんなに重くなかった。切なさはちょこっとあるけれど、それでもほっこりするようなあたたかさがありました。
年下攻めのグイグイが好きな人はキュン♥となる作品だと思います。
ツンツンさんが変化していくのも楽しいので重い作品と一緒に収録したのはナイス!!!と個人的に。
感想まとめ
いやぁ・・・切ないテイスト入れてくるのは流石というか・・・・先生の作風ですね~!!!。
それでも後を引かないような切なさだから何度でも読めるのがいい。
2冊同時発売だから、読み比べも楽しいと思います。
どちらのテイストが好みか・・・は分かれると思います(*^_^*)
私は「きっと、幸せな結末」の方が好きかなぁ~と思いましたが、こちらの「夜の落下」のテイストが好みって人もいるかと!
ぜひ。。。二つとも読んで欲しいなぁって思います。
麻生先生の作品はハマる人はハマるので。
未読な人は・・・私としては「Season」や「彼が眼鏡を外すとき」から読んでみてほしいです。
「彼が眼鏡を~」は2/7までRenta!さんでキャンペーンで少しお安くなっています。
電子書籍
夜の落下
麻生ミツ晃さんの作品入門編
私の大好きな作品4冊紹介。
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