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BL漫画特集 ゆき林檎

ゆき林檎『玉響』私が神作品だと思っているBL漫画感想/『或る日』も素晴らしかった!

ゆき林檎さんの『玉響』は何度も何度も感想を書いているのですが、『或る日』を読んだ感想も今回は書きたいと思っています。読み返すと、何度読んでも素晴らしい作品だなぁと思うんですよね。いや、何度も読むからこそ色々な情景が頭に浮かんでより面白く感じられるのかもしれません。そんな世界観にどっぷり浸かれる神作品だと思っています。

それをこの1冊に詰め込んでいるなんて・・・ゆき林檎さんまたBL漫画描いてください~。

玉響はこんな作品

「オレはあの頃 お前がすきだったんだ」
貿易商の一人息子である麻倉道忠は全寮制の旧制高校へ入学する。そこで同室になったのは、幼い頃に唯一心を許した幼馴染み、立花だった。
けれど立花との再会は麻倉にとって複雑なもので・・・

登場人物

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玉響 (H&C Comics CRAFT SERIES 62)

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右:立花(攻)

幼少期の麻倉と仲の良かった幼なじみ。あることがきっかけで疎遠になり4年後に再会して・・・。

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左:麻倉(受)

異国の血が混じっている。幼少期、その風貌でまわりになじめず、ただひとり心を許せたのは立花だった。貿易商の一人息子。

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①ゆき林檎さんのアイテム使いに注目
②この時代だからこその悲運と運命
③切ないのにどこか力強さを感じ、そして情熱的なストーリーは必見

注意ポイント

玉響の感想は以下より。ネタバレ含みます

玉響はここに注目してよみました

ゆき林檎さんはわりと二人に纏わるようなそんなアイテムを取り入れてくる傾向があると思うのですよね。この玉響もそう。今回はビー玉が最後までしっかりと二人を繋ぐアイテムとして活躍していました。

そして、この『大正』だからこそ時代に翻弄されてしまう二人。

それでも必ず再会して惹かれ会う二人にはすごく心を動かされほろりとしてしまいます。

この時代だからこそ、二人が結ばれるには多くの犠牲もあったと思う。そんな二人が選んだ結末にはすごく感動しました。

幼少期の二人

内容紹介にもあるようにこの二人は幼なじみ。

外国人の血が混じっている麻倉が唯一心許していたのが立花だったんですね。

でも、仲良しの二人があることがきっかけで疎遠になってしまいます。そのあるきっかけというのが立花とたばこ屋の娘との情事を麻倉が目撃してしまったこと。

ただ、立花はこの娘と出来ていたというわけではなく、自分の気持ちをごまかすために身を任せたというのが正しいです。

実はこの幼少期で最初に好意を寄せたのは立花の方でした。でもこの時は幼すぎてその感情をうまく処理することができなかったようです。

そんな二人を目撃し、びっくりした麻倉はラムネの瓶を落としてしまい割ってしまいます。そして・・・ビー玉だけが残されます。

ビー玉はこの後ずっと立花が持っていて、二人を結ぶアイテムになっていますのでそういう点も注目して読んで欲しいです(*^_^*)

再会と自覚

そんな二人は4年後に再会することになります。

次に意識し始めたのは麻倉の方でした。

立花に「昔好きだった」と言われ心が揺さぶられていきます。

そうそう、再会してからのストーリーで『菊乃』という女性が出てきます。この女性は立花に好意を寄せそして尽くしていくかなり重要な人物です。

矢印的には一方的に立花に好意を寄せてるカンジなのですが、彼女がいたからこそ最後立花と麻倉が再会できたのだと個人的には思っています。とても優しく、立花には想っている人がいると知っても影でしっかかりと支えてくれてた女性なのではないかなぁ・・・と。

わりと菊乃は不憫な女性だったなぁと思います(T^T)

彼女のこんな言葉があります。

『されど諦められないのが色恋なのです』

これね・・・わかりますよね。この言葉は、菊乃のものですけど麻倉・立花にも当てはまるものなのではないかと思っています。

菊乃の存在も意識し自分の気持ちも自覚していく麻倉。

そして立花と麻倉は幼少期の時とはカタチを変え気持ちを寄り添わせていきます(〃・ω・〃)

でもねぇ・・・時代が時代なんです。二人が結ばれるには色々な障害がありましたヨ・・・本当に切ない。

切ないんですよこの作品。切ないけれどその中で精一杯自分の気持ちにも向き合っていこうとする姿が愛しいの。

自分だけの意志ではどうにもならない環境で、それでも気持ちを貫き通したいと思うその強さがね。。。

葛藤もあったと思う。立花だって諦めもあったと思う・・・

でもでも麻倉は本当に強いし絵柄からは想像も出来ないくらい情熱的な子なのだと読み終わった後は思うかと。

自分達だけではどうにもならない悲運

麻倉の家のこともそうですが、立花にもどうにも抗えない事情ができてしまいます。

家の事業が失敗し倒産してしまうんですね。

このことがあり、学校に通えなくなってしまいます。

そして更に!

『関東大震災』・・・大正十二年九月一日のことでした。

立花の安否もわからぬまま、二人はまた離ればなれになってしまいました。。。

もうねぇどこまでこの二人は時代に翻弄されてしまうんだろう?ってすごく切なくなりました。うまくいくかと思ったら自分達ではなく周りの環境で引き離されてしまうんです。

中盤は甘々かと思いきや一気に突き落とされた気持ちになりました。

5年の空白 そして再会

引き離されてもまた出会う・・・それが運命というもの。

震災後、5年が経ち麻倉の横にはお見合いをし結納を控えた女性がいました。そんな中でも麻倉は必死で立花を探していたのですね。

そんな彼の願いが叶ったのか再会するのですが・・・立花の横にはあの菊乃がいました。

苦しい時期を必死で支えてくれたのが菊乃だったのだそう。

じきに身を固めるつもりだという立花の言葉に麻倉は涙を流して訴え、その場を去っていってしまいます。

もうね、ここの場面ほんとうに感情移入してしまいます。立花・・・・もっと必死になれよ~麻倉が可哀想じゃないの!!!ってちょっと思ってしまいました。

ちゃっかり新しい生活しててなに!?って。

でもね、立花もそんな麻倉の気持ちを聞き菊乃を置いて出て行ってしまうんです。

やっぱり惹かれ会う二人はいつであっても磁石のようにくっつこうとするんでしょうね。

改めて気持ちを確かめ合った二人はココで身体を繋げます。そしてある決心をする麻倉。

死に際にいい人生だったと笑いたい

麻倉は立花と気持ちも身体も繋がったことで縁談を断る決意をします。

震災を目の当たりにし麻倉の考えも変わっていたようです。今自分に死の瞬間が訪れたら・・・

人目ばかりを気にし人に嫌われないように自分を押し殺して生きてきた自分の人生はいったい何だったのだろう?と。

『僕は自分の意志で生きたんだと 死に際にいい人生だったと笑いたい・・・』

この言葉に立花もきちんと菊乃に話しけじめをつけてくると言います。

そして、きちんとお互い整理出来たときに再会できるよう・・・あのビー玉ひとつを麻倉は立花から受け取ります。

幼少期に割ったラムネの瓶から転がったビー玉・・・それをずっと立花が持っていてそれをまた麻倉が手にする。なんていうストーリーなんだろうって思いました。

取り残された気持ち(ビー玉)がまた自分の元に戻り、そしてそれはまた立花との元へと戻る希望のものになっているんですヨ。

きっと引き合わせてくれる・・・そんな希望の詰まった玉になっているというのがすごく素敵だなぁって思いました。

もうこのときの二人に迷いなど何もないんです。

「行ってきます」という麻倉の言葉でさえなんだかじ~~~~んときてしまいました。

ラストが秀逸

実はね、終盤はおもいっきり年月が経過しているんです。

それも立花没後まで(T^T)えぇ~って思いながら読んだのが懐かしい。それでも「生涯独身」という言葉を拾っては、もしかして・・と期待したりして読み進めました。

立花の書いた幻の原稿というのが存在し、それを誰かが持っているという・・・。

それを持っていたのは他ならない麻倉です。

ゆっくり映画のワンシーンのように進んでいくラスト。

記念館の写真には・・・立花の横にひっそりと写っている麻倉が。

もうこれを見ただけで号泣しておりました。

二人はしっかりと再会し、立花と過ごしたのだろうと思うと胸が熱くなってしまって・・・。

そして描き下ろしでまたまた号泣です。

描き下ろしは再会した2人のちょっと甘い生活。

立花が作家になろうと思ったきっかけや、願望などなど。。。それに応じようとする麻倉が本当にかわいらしくて愛おしい。

そして最後のページは・・・・もう何度も何度も読んでいるのに胸がいっぱいになってしまうのよここ・・・。

すんごい余韻を残していくから暫く放心状態になってしまいます。すごい作品だなぁ・・・って読むたびに思っちゃいます。

再会した日の2人『或る日』(同人誌)

これ・・・もう販売されていなくて手に入らないんですよね(T^T)読みたいなぁと思ってたら・・・J庭に一緒に行ってくれたお友達が持ってて読ませてくれたの~~!!!もうもう感謝感激雨あられです!!!本当にありがとう!

この『或る日』・・・またじわり。

ゆき林檎さん・・・恐るべし。もう表紙から素晴らしいの。

表紙は抱き合う2人なんだけれど「再会した日のストーリー」って見たらこれは再会したときの2人なのだろうかと・・・

愛おしそうに抱き合う2人にまだ中身を読んでもいないのに涙が出そうになった気持ち悪い私でございます(T^T)

何もかも捨て、立花のもとに戻った麻倉が「もう・・帰るところはないな・・・」と思って不安そうだったんです。でもね、ラストの顔を見たら戻ってきてよかったね(*^_^*)と言いたくなりました。

「そばにいてくれたらそれだけでいい」って本当に麻倉ってすんごく一途で情熱的な子だったなぁ・・・って思いました。

そして・・・松本もね・・・良い奴ですね(*^_^*)好きな子のために影で支える男・・・素敵でした。

あとやられたなぁ~って思ったのは・・・立花の感情が高ぶるシーンがあるんです。

幸せをかみしめているその姿を見たらまたまた目からなんかあったかいものが・・・。

そしてそんな立花を見てまたまた幸せそうな顔をして寄りかかってる麻倉にキュンとなりました。

これ、本当に皆さんに読んで欲しい~。同人誌は読まないと思ってたのに、これを読んでなかった自分・・・・コラ!って言いたい。

すごく幸せな気持ちにさせられて、この同人誌を読んだ後にまた本編のラストを見ると違う余韻に浸れるんです。

何度読んでも面白いってこういうコトなんだな・・・って思わされた作品でした。商業コミックスに収録されないかしら・・・。

玉響/感想まとめ

これは自分の中では文句ナシの神作品。そして皆さんに是非読んで欲しいと思う1冊です。(同人誌はもう販売してないようなので難しいのですが・・・)

長編で色々な背景やエピを盛り込んでいけば感情移入もしやすいし、作品の濃さも増すと思うのですがそれをこの1冊にまとめたというのがこれまたスゴイって思います。

ゆき林檎さんの儚げな絵柄と相まってこの作品はとても魅力的。

何年経ってもこれ読んで!!!と言っている作品だと思います(*^_^*)

 

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ゆき林檎 玉響

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