[keikou]実写映画化されたBL作品【どうしても触れたくない】の感想。[/keikou]
私の超大好きな作品です。これを読んでヨネダコウさんにどハマリしました。
途中までは本当に切ないしじれったいのですが、圧巻のラスト。
もうこのラストがあるだけで切ないのも吹っ飛んでいきます。といってもラストも少しさみしく切ない余韻は残しつつ・・ハピエン。この世界観は本当に凄いなと思いました。
作品は傷を負った嶋くん(ゲイ)と、その上司の外川(ノンケ)の恋愛。
フタをあけると外川にも壮絶な過去があって・・・すごく切ない。
恋って自分のことだけと考えて突っ走っちゃうときと、考えすぎて何もかも遮断してしまいたくなる時ってあるけれどそういうのがすごく読んでて伝わってきた1冊。
でもね、変わるには何か行動しないといけないんだなぁ~って思わされた作品でもありました。
ちなみに!!!このふたりはファンブックにその後が描き下ろされていて・・・嶋くんのデレと共にとてもハッピーな気持ちになります♪
なので!【どうしても触れたくない】がお好きな人であればぜひファンブックも読んで欲しい。
【どうしても触れたくない】作品情報
電子試し読み
【どうしての触れたくない】あらすじ
……なんか変なコトしたくなるよ、お前……。
新しい職場に初めて出社した日、嶋はエレベーターで二日酔いの男と一緒になる。それが、新しい上司・外川との出会いだった。無遠慮で図々しいように見えて、気遣いを忘れない外川に惹かれる嶋だが、傷ついた過去の経験から、一歩を踏み出せずにいる。一方、忘れることのできない記憶を抱えながらも外川は傷つくことを恐れず、嶋を思う心を隠さない。好きだけど、素直にはなれない――……。不器用な想いの行方は?
【どうしても触れたくない】はどんな人におすすめ?
ノンケ×ゲイ / 切ない /トラウマな過去/ ストーリー重視
個人的にはストーリー重視の方にお勧め。エロもあるのですがやはりどうしても好きになりたくない人に好意を持ってしまうが故の葛藤や苦悩がすごく読んでて伝わってくるストーリーだと思う。うじうじとしている嶋を包み込むくらいの楽天的な性格の外川がすごく良い。最後はなんとも言えない読後感で1冊で切なさも甘さも味わえる。
注意ポイント
【ネタバレ注意】どうしても触れたくない 感想レビュー
とにかく見どころは、過去に縛られて前に進めない嶋と、辛い過去を持ちながらもそれを見せずに生きている外川と・・・対照的なところ。
出会いは嶋くんが前の会社を辞めて外川のいる会社に転職してきたことがきっかけ。
エレベーターの中での出来事は・・・想像すると私もちょっとウエってなりそうだった笑
どんだけお酒のニオイさせてるんだろうって・・・(^_^;)
最初は【嫌だ・苦手だ】と思ってた嶋ですが、徐々に気さくで壁を感じない外川に惹かれていきます。
外川はというと、おっぱい大好きのバリバリノンケです(笑)ですがなぜか嶋をすごく気に入っていて・・・。
意識しながらもノンケはもうこりごりだと思ってた嶋くん。でも、結局体の関係を持ってしまいます。
最初はノリっぽかったのですが、外川も徐々に嶋を好きになりそして大切にしていきます。
この辺りは読んでてわりと楽しいのですが・・・外川のある一言が嶋くんを追い詰めていくのですね。
外川の過去を知った嶋くん、そして外川から家族というものに憧れるという言葉を聞いてしまいます。
「家族」それは自分と一緒にいては叶わないこと。。。嶋くんも辛かっただろうなぁってすごく胸がぎゅっとなってしまいました。
この作品は、同様につらい過去を持ちながら生きている2人ですが決定的に性格が違います。
ですが、嶋くんは外川の存在に救われ、同様に外川も嶋くんの存在が心のよりどころになっていくというのも読んでて感慨深いものがあります。
途中辛い展開は続きますが、嶋くんが一歩踏み出せたときには思わず私も涙。
強がっても強がっても自分の気持ちに嘘をつき続けるということの方が辛いんだよねぇと共感する部分も。
辛い経験をもった2人がたどり着く答えは。。。
それぞれの気持ちの違い
読んでてうまく描かれているなぁと思ったのは、嶋くんと外川との恋愛に対する考え方。
嶋くんは慎重で外川はわりと自由な感じ。好きならいいじゃない!?みたいな。
BL漫画では設定でよくノンケ×ゲイがあるのですが、やはりゲイからみたノンケくんは、「女性も好きになれる」「結婚して子供ほしいと女性を選ぶ」こういう気持ちがあって慎重にならざるを得ないのかなって。
その点ノンケくんは恋愛に対しても怖い物知らずな感じがありますよね。
そういうのをうまく表現していたように思います。
外川は「好きだ」ときちんと言葉にするのですが嶋はそれが受け入れられなくて。理由は上で書いたのですが外川の「家族に憧れる」という言葉があったかr。
こういうのはつらいですよね。
ゲイの人は思い描くような家族は作れない、子供は作れないと覚悟をして恋愛をしている人多いと思うんです。
ですがノンケくんは「家族」や「子供」というのをすぐ口にしちゃう。
当然、悪気があっていった言葉ではないにしろ傷つきますよね。自分にはすべて与えてあげれるものではないのですから。
できることと言ったら「別れ」を選択し、「家族」を作れるように自分から手放してあげること。それは自分自身が傷つかないための防衛策でもあったり。
そういうのがこの1冊にすべて描かれてたように感じました。
1冊なのだけれどすごく濃厚。
ゆっくりと変わりゆく2人
【どうしても触れたくない】でやはり注目すべき点は2人の心理変化。
ゆっくり、ゆっくりと気持ちの変化が手に取るようにわかります。
表情、しぐさ、セリフ・・・読みながら本当に頭の中でこの2人が映像化されるの。こういうのはやはりヨネダさんのなせる業なのでしょうね。
セリフひとつひとつから外川や嶋くんの性格が読み取れ、それぞれに感情移入しやすくなっているんです。
外川はすこしずつ態度が変わり、ヘビーだったタバコも嶋が嫌いだというだけで辞めれちゃう。。。
そしてさりげない気遣いや優しさがくすぐったい。
嶋くんは自分の気持ちを受け入れるのにも悩み、これまた外川を失ってから一歩踏み出すまでも悩み・・・
読みながらがんばれ!!!って声援を送りたくなるほど(笑)
嶋くんが京都まで行って「好きです」と言うまでにどれだけの勇気がいっただろう・・・とじ~んとなり涙が出ました。
これも最後の最後までノンケだから、過去があるから、自分がまた傷つくのが怖いからとなっかなか前に進めなかった過程あがあるから生きてくるラストだったと思います。
最後の2人はすごくすごく優しい雰囲気が流れてて・・・。
[keikou]「嶋ぁ ありがとな」[/keikou]
というセリフには嶋だけでなく私も泣きました(´;ω;`)
なんていう・・・セリフのインパクト!!!ヨネダさんの作品は本当にセリフまわしからコマから素晴らしすぎて泣けます。
辛かった展開が嘘のような読後感
この作品が連載されたのは2007年~2008年。すでに8年くらい経っているのでしょうか。リライトしている今は10年以上経過してる・・・(^_^;)
BLコミックスはその後もたくさん出ていて増える一方なのですが。。。私の中ではこの作品は神。
ゆき林檎さんの【玉響】と同じくらいよく読み返します。
何年経っても皆に読まれるには理由がある。
私が思うのはやはり読後感ではないかと思ったり。
中盤からの辛い展開が続き、最後はほっとするのだけれどしんみり。
そして描き下ろしで幸せを感じられる展開。
読んだあとはもうため息しか出ないくらいの満足度。
そうかと思ったら最後の最後で外川の辛い過去のストーリー・・・。
でも辛い思い出の「雪」が、嶋くんの存在で「嫌いではなくなった」というのが胸にぐっときてギュっとなって・・・。
[keikou]「お盆に実家かえるけど一緒に来るか?旅行がてら」[/keikou]
には、外川の想いが込められていてきっとこの2人はきっとこれからも一緒にいるんだろうなと思える展開でした。
もう少し二人を読んでいたい。
このもう少し!!!が何度読んでも面白いと思わせてくれる読後感につながるのだろうなぁと。
最後の家族写真が飾られたラストも外川の心境の変化があってぎゅっとなりました。
もっと楽しんで読むためのコツ
ちょろっと書いたけれど、作品の中での注目アイテムに外川の写真立てがあります。
冒頭には伏せられた写真立て。途中嶋に見つかるも、恥ずかしからとずっと伏せられたまま。
そして最後の最後にしっかりとたてられた写真盾で終わっています。
これも作中ではしっかりと意味のある事なのですよね。
私自身の見解ですが、ずっと外川も家族の死や母親の死が受け入れられずにいたように思います。
母親に関しては怒りさえあったんですよね。
後に母親からの手紙で外川が生きていたことだけが救いだ思ってた母の気持ちを知りますが・・・その時にはもうお母さんはいないですからね。
ずっと心の中では孤独だったのではないかと思います。
大切な写真立てなのに見る勇気がないのかなんなのか。
嶋くんと出会ってすごく大切な人ができて「自分が死ねばよかった」と思ってた過去から「生きていてよかった」に変わったのではないかと思ったりもしました。
だからこそ飾れるようになったのではないのかな?と。
リライトしても超長い感想になってしまいましたが・・・すごくオススメの1冊です!
ちなみに!!!!この「どうしても触れたくない」にはスピンオフがあります。
それでも、やさしい恋をする
この【それでも、やさしい恋をする】にも【どうしても触れたくない】の外川・嶋くんがちょこっと登場します!