【ハロー・グレイ・ナイトシェード】作品紹介
出版社/レーベル | ホーム社・eyesコミックス |
発売日 | 2017/6/23 |
ジャンル | 兄弟BL 切ない |
展開 | |
胸キュン | |
エロ | |
満足度 |
内容紹介
これは歪で愛おしい、救いの物語。
“ある目標”の為に地元から離れ、都内の調理師学校に通う虎汰は、人望厚く友人も多い上、モデルの仕事もこなしている。そんな虎汰には、嘉一という八つ下の弟が居た。毎日欠かさず電話をかけてくる嘉一は虎汰を強く慕い、虎汰もそのことを友人に自慢するような、仲の良い兄弟だった。しかし、二人はそれぞれの想いを抱えていて……。
ある日、虎汰の元へ、何故か嘉一が一人でやってくる。突然のことで驚きつつも快く招き入れるが、嘉一の「一言」をきっかけに、虎汰の表情が一変し──?
【収録作品】ファンファーレが聴こえるか/はらぺこのメメント・モリ
注意ポイント
感想は以下より。ネタバレ含みます。
兄弟BLです。
こちらはこの作品が読みたい!と思って読んだわけではなく、久松エイトさんの「ハンドインハンド」を読んで味のある作家さんで面白いなと思ったのがきっかけで読みました。
絵柄は好み別れるかな?と思うのですが、どの作品も心情をかなり丁寧に描かれる作家さんだと思います。
その中でも色々な要素が詰まったこの作品を紹介。兄弟BLがNGという人はどうかわからないですが、エロ特化ではないです。
兄弟だからこその心情がたまらなく面白かった。純粋な弟が特にキャラとして際立ってたと思います。
これからの二人に幸あれ!と読後は思いました。
ハロー・グレイ・ナイトシェード みどころ・ネタバレ感想
今日この作品を推そうと思ったのは。。。普段よく読む兄弟BLとちょっと違う雰囲気をまとった作品だから。
すごく彼らの背景は切なさもあって状況的にツライ。
兄の虎汰はまっすぐで優しくていい子なのに。あんな状況だと弟の嘉一(よいち)の事を嫌っても仕方ないと思うのに溺愛しているんだからやっぱりやさしい兄なのだろうなぁって思います。
ただね、虎汰の気持ちを変えるには十分な・・・母の言葉。
虎汰は母の言葉を聞き、苦しむのはいつも自分だと涙します。
その後虎汰は上京し目的を達成するために頑張るのですが・・・その目的がね予想外。中盤までまっすぐな兄で弟溺愛しているので優しいと感じていたのに・・・
虎汰の目的は月路亭を壊すことだったようです。
弟・嘉一がやってきたことで事態が変わる
そんな虎汰のところへ嘉一が突然やってきます。いつまでも変わらず兄さま大好き!とそんな目で見る嘉一。
嘉一は虎汰に会えて喜ぶのですが、虎汰は・・・
虎汰は「月路亭」を壊すために生きている。その野望を邪魔するのが屈託のない笑顔を向ける嘉一なわけです。(虎汰もまた穢れのない嘉一が心の底では愛しいのでしょうね)
かわいい嘉一、かわいそうな嘉一・・・どうやってお前を壊してやろうかと虎汰は嘉一にキスして・・・・前編はここで終わるの。
その時に「大嫌いだ」と言っていたけどどうなのかな・・・って。
早く後編!と思ったら・・・間に違う話が入っていてガクっとなりましたが・・・それはそれで面白かった。
その途中に入っていたお話は双子の話と年の差の不思議な話。二番目の話はやや病み系かな。★4にしたのもこの短編が二つ入っていてそれが間に入っていて話がぶった切られたからなのですよねぇ。
掲載順番をもっと変えたらよかったかも!?
嘉一視点でさらに面白さが増した
さて後編です。
後編は嘉一視点が入っていてとても良かった。一方的な見方ではなくてどうして嘉一が兄の虎汰を大好きなのかがよくわかるエピ。
小学校の時のエピはなんだか読んでてじわっときてしまいました。
こんなに優しく家族思いな虎汰が壊したいと思うような状況がよりつらくなってしまいます。
でもツライ状況なのは虎汰だけではないの。
この嘉一視点でわかることがいっぱいあってそれがまた面白かった。
嘉一のツラさもすごくわかる。
それを知ったら虎汰とう思うだろう?自分だけが苦しいと思ってた虎汰・・・嘉一は幸せいっぱいだと思っているけど、違うのよね。
こういう視点を変えてのエピがこの作品の良さだったように思います。
そして現在に戻ってからの嘉一に涙。
自分の事を嫌いだと言った虎汰はすべて知っていたのだと涙します。それでもなお完璧な兄を演じてくれてたのだと。
「兄様しかいないのです 嘘でも愛してくださったのは」
「兄様のためになるなら 消えてしまいたい」
中学生の子がここまで言うほど追い詰めらたのかと思うとなんか・・切なくてぎゅ~ってなってしまいました。
ここの描写はほんと読んでほしい。
嘉一の泣き顔につられてうるってきてしまうと思います。
ここで虎汰は気づくの。自分だけではなく嘉一も同じように痛みを育てすぎてしまったと。
その後嘉一を見送る虎汰ですが・・・帰り際に「あと十年したらきっとお前を迎えに・・」と言おうとすると、嘉一の方が「迎えに行きます」って言うの。
月路亭は虎汰の城だからと。別れるときの二人は。。。なんだかすっきりした表情してたのも印象的。
ただね、ちょっとのその後がとんでしまって十年後になるのはもったいなかった・・・
でも十年経ったあとに約束を果たす嘉一がステキになっててキュンとしました。
さて。。。もうおわかりでしょうか。
兄弟BLといいつつ・・・・前後編ではBL感ほぼなしです。お互い同じ痛みをもっていたのだと知った虎汰が復讐をやめ、嘉一の迎えに喜ぶ姿でラストを迎えています。
壊すことよりも育てる事を選んだのだと思うと胸が熱くなります。
BLが読みたいのに!!!と思う人にはこの前後編ではもしかしたら物足りなさもあるかも。
でも。。。この兄弟のみどころは・・やっぱり愛とこか恋とかよりもかなり強い結びつきがあるのでは!?と思えるところ。
BがLするところは・・・・描き下ろしでちょろっと読めるので・・・そこで我慢を☆描き下ろしあってよかった!!!
十年後の兄弟
嘉一が支配人で虎汰が料理長になっている月路亭。
そこにかつての虎汰の友人たちが来ていました。それに気づいた虎汰。
その中には・・・虎汰と関係を持てった子もいます。
あらら。。。。と思ったけど虎汰に関しては。。。もうそういう感情はないみたいだから良かった。
ちゃんと嘉一にキスしてるし、キスされた嘉一のあの喜ぶ顔が見れてヨカッタです。
まとめ
兄弟BLと言ってもかなりマイルドな兄弟BLです。描写的にはキス止まりですし。
ただ、彼らの結びつきが強いことは確か。
そこを面白いと思えるかどうかで評価はかわっていきそう。
個人的には描き下ろしのキスが読めただけで大満足。
虎汰にとっては嘉一は大切な人であり、弟であり、今は理解者なのかなって思いますヨ。
この二人は離れることはないのでは?と思えるので作品としてはこの見せ方で大成功だったのではないかと思います。
むしろ。。。エロが描かれていたらなんとなく陳腐な感じになってしまったかも。
兄弟BLがこのような形で描かれているのは素敵だなと個人的には思いました。
気になった方は是非☆
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